YOKOBLOG

女性医師が書くブログ。ジェンダー・ギャップの大きい医師社会において、女性医師の翼を折らない文化を目指す。女性医師のためのリーダーシップ、女性医師応援、キャリア形成を医学教育的視点で情報提供。既婚非婚未婚の分断反対派、みんなまとめてsisterhoodを広めたい。こどもの英語教育についての情報もあり。 YOKOBLOG is originally in Japanese article, giving information for women doctors about women leadership, life style, life-work balance, career development. Encouraging women doctors is the main purpose of this blog. Please enjoy reading and share with your friends!

お母さんは頭がおかしい!
溺愛している次男坊から、塩評価をいただいています。「お母さんは、頭がおかしい」となぜ彼はそう思うのか?
2023-05-13 (1)

小学6年生だったと記憶しています。卒業のメッセージかなんか(覚えてないけど)で「お母さんから息子さんへ手紙を書いて」と小学校から言われて、書いたことがあります。次男坊は小学校は長野県松本市で入学し、その後2年生で長野市に引っ越し、3年生はハワイ、4年生は大阪と親の都合で移動させられました。私は身勝手な親で、特に自身の留学先であったハワイ生活は自分が楽しかったので、息子達も楽しんでいたに違いないと思っていました。そこで、「いろんな経験をできてよかったね」という内容の手紙を書いたわけです。

すると、当時6年生の次男坊は、ブチ切れ。「はあ?頭おかしいんか!」と言われて、私は私で、これまた「なんで怒るんだろう」と困惑。

それでやっと私は正気に戻りました。本人は自分の感情を無視されていると感じていたという事だったのか!言語化できない年齢だったので、普通に過ごしていたように私からは見えたわけです。それを私は次男坊はてっきり適応して楽しんでいると勘違いしており、彼の感情を無視してしまっていたという事だったのです。

それ以来、事あるごとにチクチク言われます。自分の意見を言語化できるようになったという事で、今になって当時の次男坊の心情が言語化されています。親の価値観を押し付けて、本当に申し訳ございませんでした。塩対応も仕方ない。。。
現在高校3年生。最近は「もういいよ」と、やっと許してやってもいいと思ってくれているようです。

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こどもの英語教育-息子たちに聞いてみたー③
以前から、こどもの英語教育についての記事のリクエストが多かったので今回ちょっと息子たちに聞いてみたのでシェアします。

2023-04-29

今回は、長男編の続きです。

長男は、そこまで食にこだわりがなかったのと、ハワイに連れていかれた時が次男よりも3歳上だったのもあって、ご飯が不味いという理由で親を恨んではいません。寡黙な子で、Outgoingでもありませんけど、カナダのホームステイも、その家の子たちが同じ男の子2人で自分の弟ぐらいの年齢で楽しかったみたいだし、高校もそれなりに楽しかったようですがコロナのせいで途中から高校に行かない日が増えてしまい、日本に一時帰国することもできなくなりました。海外のリアル事情を見てるので(裏でマリファナ吸ってたり、都会の治安の悪さも)、「海外サイコー」とかいう思想はありません。

彼にも、親がお母さんみたいな女性医師で留学したいママさんに、何かアドバイスがあるか聞いてみました。彼曰く、「小さい時に海外行くとかインター行くとかは、親がやりたいようにやるじゃん。それは当たり前っちゅーか、しゃーない。親の影響を受けるんだもん、子どもは。大きくなったら自我が出てきて、どうせやりたくないことはやる気が出なくてやらないし、やりたいことだけやればいい。やりたかったら、やるんじゃない。大学行きたければ行けばいいし、行きたくなければ行かないし、どうせ。」

長男の意見を聞いても次男坊と同じで「親の意向・影響を受けるのは仕方ないし、長期的にはネガティブに受け止めていない」っていう事だと解釈しました。親の留学に連れて行ってもいいし、インターナショナルスクールに小学校から行ってもいいって事です。日本のインターナショナルスクールで高校があるところを選べば、そのままのシステムで海外の大学に進学できますので、心配ありません。要は自我が芽生えた後は、親がどうのこうの言っても結局本人がやりたいようにやります。

高校1年生でカナダに行きましたが、日本のインターでの英語ベースの教育効果はバッチリで、カナダの高校の授業は難なく理解できて、成績も良い方でした。大学受験も恐ろしくCompetitiveな大学でない限り、日本よりはユルくて高校の成績がある程度ちゃんとしていて、取るべき授業を取っていれば難なく合格できました。なので、日本の異常な大学受験戦争に巻き込まれなかったのは、良かったと思っています。カナダの高校に通っていても、外国人なので大学受験の際にはTOEFLを受けるか、高3の英語の成績がA評価を取るか、どちらかをクリアする必要がありました。本人は「TOEFLが面倒くさい」というモチベーションだけで、頑張ってA評価を取りました。

彼は結局、カナダで地元のビクトリア大学の工学部に入学したんだけど、(コロナもあって)メンタルがやばくなって、帰国しました。大学も興味を失ったと。英語は十分わかるようになったから、彼の目的は果たしたと言っています。今英語が役に立ってるかどうかを聞いてみました。彼曰く、洋楽、エンタメ、ゲームの最新情報やツイッターの話題なんかは、ほとんど英語だから英語が分かる方がいいと。スマホも英語仕様のままで、若者らしくエンタメを楽しんでおります。

次回は、次男坊の「お母さん、頭おかしいんか!」という内容です。お楽しみに~

こどもの英語教育-息子たちに聞いてみたー②
以前から、こどもの英語教育についての記事のリクエストが多かったので今回ちょっと息子たちに聞いてみたのでシェアします。

2023-04-29
「子育てに正解も失敗もない」ってことを大前提に。

今回は20歳の長男の意見をシェアします。彼が私のハワイ留学に連れていかれたのは10歳(小5)の時です。次男坊と同じく、土曜日だけの英会話スクールに通っていました。次男坊より3歳年上という事もあり、比較的何でも頑張る子だったという個性もあり、彼は既にフォニックスを習得していました。なので、意味を知らない単語でも正しく発音することはできたわけです。

ハワイに行って、初めは「全くわからない」と。そりゃそうです。でも、彼の当時の発声Readingの録音を聞き返してみると、教科書をゆっくりだけど正しく発音して読み進めることができていました。次男坊に比較すると、雰囲気と耳だけじゃなくて、目でも理解していたと思います。ハワイではMiddle school(中学校)に入ることになったんだけど、そこで「ELL:English Language Learner」つまり母国語が英語ではない子どもたちのためのクラスに入りました。英語が母国語じゃない子どもが多いってことですね。そういうクラスが公立中学校でも整備されているのはハワイのいいところ。配慮して授業を進めてもらえるので、英語が完璧じゃなくても数学、理科、他の授業が理解できるわけです。半年も経つと、英単語テストでも満点取ってきたりしていたので、ELL Classなら大丈夫そうでした。1年後にはほとんどわかるようになって帰国の時に「もうちょっと英語やりたいな」という自我が芽生えたようでした。

そういう自我の芽生えもあって、帰国後はインターナショナルスクールに入学しました。意外にもインターナショナルスクールの方が、ELL classという特別学級は整備されていなくて、ハワイよりも難しかったようです。最初は学校に行くのが辛そうでした。最初の1年はELL supportというのが別料金であって、そのサポートを受けていましたが、2年目からは「もう大丈夫」と先生からお墨付きが出てサポートはなくなりました。
長男曰く、「中学生からインター行くのは、結構やる気がないと心が折れる。俺はあの時は(謙遜して)ちょっとはやる気があったんだよ、たぶん。日本人の親で、日本人の子どもでインター行ってた子はいたよ。その子たちは高校は日本の高校に行った。漢字とかは、別で塾とか教材使って、やってたんじゃない?(知らんけど。)インターの小学生は日本人もいたよ。あの子たちはまだわかんないから、親の意向でしょ。小さい子にそんな「英語頑張りたい」とか、ないから。親がどうさせたいか、で行ってるんでしょ。でも小さい頃は、ただ単にそれが普通だと思ってるから、心折れたりしないよ。小学校から行く方がいいんじゃない?中学生は自我があるからさ、よっぽど本人にやる気がないと無理。」

長男は漢字を読めますし、書けます。インターでも日本語の授業は少しはあったけど、期待しない方がいいです。漢字とか習字は、こどもの選択肢を広げておくとか、日本人としてのアイデンティティのために継続しておくのもアリです。名前も漢字だし、命名には意味までちゃんとあるし、海外に行ってもサインが漢字だと外国人に真似できないから自慢げです。「漢字は捨てさせよう」と親が決めつけてしまうのは、若干危うい気がします。こども達は自分の名前の漢字を書くのを一生懸命練習します。「あなたの名前には、こんな思いを込めたんだよ」っていう話を聞くのも大好きで、自分の名前に誇りを持っています。

今は大阪の中津にあるYMCAインターナショナルスクールには、高校もできました。彼の時には、高校がなかったので卒業後は日本の高校に行くかしか選択肢がありませんでした。海外の高校にホームステイまでして行かせる家庭は多くないので、結果的に同級生たちは日本の高校に行ったということです。

大阪市中津にあるYMCAインターナショナルスクール↓
Osaka YMCA International School - Encounter. Connect. Transform (oyis.org)
Osaka YMCA International School | Osaka Osaka | Facebook

我が家の長男はホームステイしてカナダの公立高校に行きました。
次回は長男編の続きです。


こどもの英語教育-息子たちに聞いてみたー①
以前から、こどもの英語教育についての記事のリクエストが多かったので今回ちょっと息子たちに聞いてみたのでシェアします。
2023-04-29

私の2人の息子たちは、それぞれ全く違う個性、それぞれの道を歩んでいます。まだまだ発展途上の若者。こどもの英語教育についてのお話をする前に、「子育てに正解も失敗もない」って事を大前提としてお聞き願います。

今回はパート①として、次男坊の話を聞いてみました。
次男坊は今17歳の高校3年生。ハワイに私が息子2人を連れて1年間の留学に行ったのは、彼が8歳(小3)の時で、それまではお遊び程度の英会話スクールに土曜日だけ行っていました。本人曰く、「飴ちゃんをもらいに行っていただけで、何も覚えてない」と。

ハワイの小学校に行き初めて、最初は「全くわからん」かったらしいです。そりゃそうですね。では1年後はというと、「ほとんどわかるようになった」らしいです。最初は身振り手振りを駆使したり、雰囲気から理解したりしていたと。例えば、学校でみんながうるさい時に "Don’t talk!" (「話すな!静かに!」ってことかな)って先生が言ったらみんなが静かになったり、生徒が悪さしたときに先生が罰として何かをさせるとかさせないとか言った時に友達が"what a---"(なんやて!?)と言ってそこで止めるんだけど、実はその後に汚い言葉"●●ck"が来る事を覚えたり。

小学校3年生で習う漢字が全く次男坊はとんでしまったので、小学校4年生で日本の小学校に戻ってから、漢字の点数はめっちゃ悪かったみたい。中学生でも完全に漢字力は戻らず、高校生になってやっと戻ってきたと。今は高3で受験勉強中だけど、英語独特の表現で、特に日常会話に出てくるようなものがテストに出たときは「秒でわかる」と得意げにしています。例えば、"It's up to you."とか"I missed you."とかは、日本で英語が良くできる高校生でもわからないらしく、次男坊は「俺が友達に教えてやった」と上から目線。そりゃそうだよ、きみ。

親が留学したい場合に連れていかれる子どもとして、お母さんと同じような女性医師ママたちにアドバイスはあるか?と聞いたところ、「英語はいつでもできるよ。小さい子でも、大学生になってからでもできるようになる。だけどもし、日本に帰ってきて日本で大学受験するなら、算数と漢字は途切れさせないほうがいい。アメリカでは計算とかしない。日本は計算させられる。計算苦手になったら、数学が苦痛になる。苦痛になるとやらなくなるから、理系っていう選択肢がほぼなくなる。」と言っていました。
これに関しては、ハワイにも「くもん」はあったので、それで代替可能かもしれないね。でも週1回ぐらいにしないと、子どもにとっては「苦悶」になるから注意です。

小さい子どもは、親の意向に逆らう手立てがありません。親が「海外に行く」と決めたら、一緒に行くしか選択肢がないです。次男坊は日本食大好き人間で、美味しいごはんが人生の楽しみそのものでした。アメリカの、特にSchool mealは「ゴミだった」と本人は表現しています。なので、とっても親を恨んでいました。ただこれも、対処法はありました。ほとんどの日本人の子ども達は、母親がお弁当を作って持たせていて、School mealは食べていませんでした。日本人の子どもにとっては不味すぎて食べれないと皆わかっていたからです。私は留学中で、お弁当を毎日持たせる余裕がありませんでしたから、不味いSchool mealをお金を払って食べさせていたわけです。
最近はやっと英語がちょっと友達よりも得意という事にメリットを感じはじめたらしく、「ありがたいと思ってるよ」と言っています。だから、子どもに一時恨まれる事は覚悟の上で、留学に連れて行ったりインターナショナルスクールに入れたりしてもいいんじゃないでしょうか。

次回は長男の意見をシェアしますね。

2023-04-13 (1)

実は今、今週末に開催される日本小児科学会学術集会での口演の準備中。例により、女性医師のキャリ支援、リーダーシップ、無意識バイアスなどについて話す予定。もうスライドは完成しているんだけど、ココロの準備が不十分なのだ。

学会など公の場で話す言葉は、切れ味が悪い。当たり障りのない言葉を使うのだが、何とも心に響かないものだ。逆に、関西人的なストレートな言葉を使うと、グサッっと心にひびくのだが、「攻撃的」という印象を与え、私の知る限りのジェンダーに関するエビデンスに基づけば、女性である私が「攻撃的」な関西人的ウィットの効いた言葉を使うと「抵抗感」を聴衆にあたえるので、結果的に主張が受け入れられず、口演を行う意味が半減する。何というジレンマ。

私のジレンマは以下。自分用の備忘録・思考のまとめ。(だから気にしないで)

①日本のジェンダーギャップ指数はG7中最下位
①の言い換えYOKO版:先進国にあるまじき、恥ずべきジェンダーギャップ。日本は先進国ではない。

②育児支援しても当直免除しても、リーダーシップは身に付かない
②の言い換えYOKO版:育児支援オンリーは女性を「骨抜き」にする

③なぜ育児支援ばかりなのか?無意識のジェンダー・バイアスにとらわれているから
③の言い換えYOKO版:「女」=「子育て大変やろ?」オッサン軍団はこの思考回路だけで、それ以上頭を使わない

④海外の女性向けリーダーシップ教育の内容は育児支援ではない!
④の言い換えYOKO版:これこそ「骨太」!

ほんでまた、自称「偉いおっさん達」(病院長とか教授とか)軍団が、下世話な「お金」の話をしてくるんだよね。それの対処法を実は夫に相談した。夫いわく「無視すればいい。YOKOちゃんのメッセージは、若手女性に届けばそれでいい。」と。なるほど、憂鬱な気分がちょっと晴れました、ありがとう。やっぱり彼は、私の筆頭応援団長だわ。

さて、普通にやろう。ブチかまさずに。

医師のためのリーダーシップ講座:ステップ4に行かないとリーダーにはなれない
ハワイ大学OME fellowshipで学んだことをシェアしています。
2023-02-23

以前の記事で紹介したキャリアの6ステップのお話の理解がまず必要ですので、さかのぼってご覧ください。以下リンク↓
キャリア形成6つのステップー今どこ? : YOKOBLOG (livedoor.blog)

そこでも出てきた下の図。
キャリアには6つのステップがあります。
ステップ3は、何の疑問もなく新しいスキル習得にいそしみ、出来るようになってきて給料もあがり、仕事が楽しくてイケイケの段階です。もちろん、このまま定年まで行く人もいます。
ステップ4は、何らかの壁を感じる時期です。「このままでいいのか?」という疑問も出てきます。

2021-09-05 (4)
 ↑Janet O. Hagberg REAL POWER. Stages of Personal Power in Organizationsより

リーダーシップに興味が出てきて勉強したり、リーダーシップ論を基盤に行動したりするためには、このステップ4に到達していなければなりません。ステップ3の人では、リーダーシップは取れません。リーダーシップ論を勉強もしないし、その場の安直な考えで「Reactive:反射神経的に」チョコマカと行動し、目的意識も芽生えていないので考えと行動をコロコロと変え、支離滅裂になるからです。

別の見方もできます。例えば、ジェンダー・バイアスがあって、「子持ちの女性には、適当な役割を与えておけばいい」という古い考えのもと、まるで戦力外通告をするかのうように「ステップ3に留まらせておけばいい」という組織では、女性はステップ3の状態で、頭を上から押さえつけられている状況になります。そのような組織文化では、よもや女性リーダーは育ちません。

私の目から見ると、男性は明らかにステップ3であってもリーダーをやっています。ステップ4に到達していない人がリーダーをやっているチームでは、目的とビジョンが明確ではありません。ただ惰性にまかせ、現状維持をしているだけです。何かを決まり事を作るときも、その場の自分自身の感情を基盤にして、独断と偏見で決めてしまいます。チームメンバーがどう考えているか聞く事もしません。チームを率いるには、チームとしての目的とビジョン加え、さらに大事なのがチームメンバーの気持ちを一つにして、ベクトルを同じ方向に向ける事です。

ステップ4でリーダーシップを勉強し、実践してみて「壁」を乗り越え、熟練したリーダーになっていくのだと思います。その向こうの景色(ステップ5と6)を見るために!

医師のためのリーダーシップ講座:実は人の話が聞けていない
ハワイ大学OMEフェローシップで教えてもらった事をシェアしてます。
2023-01-16 (4)

今回は、「実は人の話を聞けてませんよ」って話です。
これも"The Servant"の冒頭に出てくる内容です。
ある2人が初対面で話した時の事を後で振り返る場面があります。
「あなたは、私と出会った時、5分間で3回私の話を途中で遮りましたね。」
「え?(無意識に遮っていた)」 という会話があります。

特に医師は、短時間でJudge(審判)しながら患者の話を聞く習慣が身に染みついてます。なので、同僚や友人や家族や子どもの話も、同じように短時間でJudgeしながら聞いています。

「短時間でJudgeしながら聞く」って、どういうこと?って思います?
診断しながら聞いているって事です。
患者の話を「疾患の診断の正確性を上げるために」聞いているので、その習慣がつきます。当たり前ですよね。
相手の一言一句を、「正しい、正しくない」を瞬時に頭の中で判断しながら聞いています。相手が患者で、目的が診断の精度を上げる事であれば、やってもよい事です。

では、相手が友人や家族だと?
別に審判を下してほしいとは、相手は思っていませんし、その必要はありません。
なのに、患者の話と同様に、一言一句を「正しい、正しくない」と瞬時に頭の中で判断しながら聞いていると、口を挟み始めます。
「それって、違うんじゃない?」
「それって、こうなんじゃない?」
「いやいや、そうじゃなくて、・・・(・・自分が話始める)」
「いやいや、だからさ、・・・・・(同様)」
って、相手の話を途中で遮ったり、奪ったり、否定形で返したりしていませんか?

ある統計によると、外来で内科医は約1分で患者の話を中断するらしいです。
医師は1分間ですら、黙って人の話を聞けない、って事ですね。
(アメリカのニュース討論番組なんかを見ていると、アメリカ人も人の話を遮って自己主張する社会だってことが顕著です。"Let me finish !!!(怒)"って、よく言ってますよね)

相手の話を途中で遮って、奪ったりすると、相手は「私の話は聞いてもらえなかった」「僕の意見はどうでもいいんだな」「あの人は自分が正しいって事を示したいだけなんだな」「もうあの人に話すのはやめよう、どうせ聞いてもらえないし、会話が楽しくない。」って、思われます。

「2~3分間、相手が話し終わるまで待つ」
「2~3分間、相手の話をJudgeしないでただ聞くだけ」
「相手が完全に話し終わってから、こちらが話す」
実は、職場で提供される「コミュニケーション研修」と呼ばれるものには、こういう実習が組み込まれています。看護師やその他の職種の方々は、命令もあってこういう研修に最低限出る義務があります。
ところが、医師だけは「外来や手術があるから」といって、こういう研修を強制されません。

見えてきました???
医師は特別扱いされているのか、諦められているのか。。。
医師(あなた)とコミュニケーションを取ろうと他の職種の方々は研修に出て努力されています。でも、肝心の医師(あなた)だけが、研修を免除されて、人の話をFinishさせない。こういう病院組織って、Mismanagementだと思ってしまうのは私だけでしょうか?強制的に参加させないといけないのは、医師なんじゃないかな?もし研修の効果が出れば、患者の満足度は上がるし、チームワークは向上するし、医療安全も向上すると思うんだけど。

子どもの話を、つい途中で遮ってしまう私自身も、自己反省して肝に銘じたいと思います!

医師のためのリーダーシップ講座:NeedsとWantsは違う
ハワイ大学OMEフェローシップで教えてもらった事をシェアしてます。
2023-01-16 (3)

今回の2つの言葉は、NeedsとWantsです。
え?って感じですよね。さすがに基本的すぎん?って(笑)。
中学生でも知ってるよ、さすがに。
でもでも、リーダーシップという現象を正しく起こす時には、復習が必要です。

あるチームのリーダーをやっているとしましょう。
チームメンバーが活躍して良い結果を出すためには、環境を整えないといけませんよね。
あるプロジェクトを進めて結果を出すまでの過程を計画して、それを可能にする環境。
できるだけ誰でも簡単に出来るようにする方が効率的です。
そこで2つの言葉が出てきます。
Needs:メンバーが結果を効率的に出すために必要なこと
    リーダーが準備すべきこと
Wants:メンバーの過剰な要求 
    リーダーが準備すべき事ばかりではない

この2つの線引きを明確にする必要があります。Needsは満たさなければいけませんが、Wantsは全て満たす事はできません。この線引きを明確にしておかないと、ブレます。
その際には、公平性と透明性の担保が必要になります。説明責任とも言えますよね。

チームメンバーの不協和音で、うまく行かないな~、って時は、何がNeedsで何がWantsなのかが明確になっているかな?
説明責任を果たせているかな?
公平性と透明性が担保されているかな?
って、考える習慣が身に付けばいいですね!

医師のためのリーダーシップ講座:MotivationとInspirationは違う
ハワイ大学OMEフェローシップで教えてもらったことをシェアしてます。
2023-01-16 (2)

今回の2つの言葉は、MotivationとInspiration。
「モチベーション」って、とってもよく使いませんか?
モチベーションが、あるだの、ないだの。
モチベーションを保つだの、モチベーションアップするだの。
そもそも、モチベーションってどういうことなんですかね?

私がとても腑に落ちた言葉の説明が以下です。
Motivation:外的因子(ご褒美・インセンティブや罰・罰金)によって、突き動かされること
Inspiration:内的因子(自らの欲求)によって、突き動かされること

英語表現だと特徴的なのが、ingを付けると形容詞になります。つまり、
Motivatingな人ってどんな人かというと、ご褒美や罰を与える人の事です。
Inspiringな人ってどんな人かというと、自分自身の中身や信条を活性化したり強めたりして、まさに「魂に息を吹き込む、生命を吹き込む」ような人の事です。

リーダーシップを学ぶ際に重要なのは、「自分はどんな人になりたいのか?」って事。
私はMotivatingな人よりは、Inspiringな人になりたいと思っています。

だから、日本語で使われる「モチベーション」っていうのは、曖昧な意味で使われているな~、っていつも思ってしまいます。

医師のためのリーダーシップ講座
LeadとManageの意味は違う!
YOKOがハワイ大学OMEフェローシップで教えてもらったこと
2023-01-16 (1)

これも前回と同様、ハワイ大学OMEフェローシップでの課題図書
"The Servant"で出てくる内容です。
本のリンク↓

意味が違うと言うよりは、2つの動詞の目的語が違う、というもの。

Leadの目的語:People
Manageの目的語:Things(またはお金)
"You manage things. You don't manage people."と書かれている。
つまり、「人を駒のように扱える」と思う事自体が間違っている、って事です。
人にはそれぞれの思いや信条があるから、そこに訴えかけずにリーダーシップを発揮しようとしても失敗しますよ、って事です。

私たち医師は、どうしても感情よりも論理を優先しますが、それ自体は良い事だと思います。
論理的思考が欠落したら、どうしようもないですから。
ただ、論理的であることや正論だけを掲げても、「気持ちを理解しよう」という姿勢が欠けていたり、リーダー自身が「自分の正論と自分の信条」を優先しようとすると、周りはシラケるもの。
「あの人がそう言うなら」と重い腰を上げてもらうためには、感情に配慮する必要があります。
その場合、上記の2つの動詞が取る目的語が違う事を思い出して。
自分が今しようとしていることは、どっちなのか?
上手く行かない時、「Manage things」出来ていたとしても、「Lead people」出来てないんじゃない?って考える習慣が、「リーダーシップ」という現象を起こすためには必要ですね。



医師のためのリーダーシップ講座
PowerとAuthorityの意味は違う!
YOKOがハワイ大学OMEフェローシップで教えてもらったこと
2023-01-16

リーダーシップを学ぶとき、よく「権力」「権威」という言葉がでてきますよね。
サーバント・リーダーシップというスタイルを学ぶ時、ある本を読んで出てきた内容です。
米国の著書なので内容は英語ですが、日本語訳も出回っています。
YOKOは英語版で学んだので、日本語の方は読んでませんが、英語の方がおススメです。
リーダーシップの教科書だから難しい英語かと思いきや、教科書ではなく小説で、
簡単な英語だから読みやすいですよ。
本のリンク↓
"The Servant"


そこで出てきた内容です。
リーダーシップを発揮したい時、メンバーに仕事をしてほしいですよね。
その時に「権力」がないと無理なんじゃないか?という疑問が湧きます。
2つの言葉の意味を解説すると、何が違うのか良く理解できるようになったんです。
その2つの言葉とは、PowerとAuthority。

Power:肩書きがなくなれば、なくなるもの
Authority:肩書きがなくなっても、なくならないもの

どちらも、権力や権威と言う意味です。でも、ちょっと違いますよね。
病院長という役職を考えてみましょう。ある人が病院長になって、部下に仕事をしてもらいたいとします。そして、自分の思うように動いてもらいたいとします。
「病院長」というPowerを使えば、言う事を聞いてもらえます。
しかし、Powerを使った場合、病院長でなくなった瞬間から、その人の影響力、つまりリーダーシップは跡かたなく消え去ります。

Authorityを使った場合はどうでしょう?肩書きが消えても権威は残りますから、「あの先生が言うんだったら、やろう」というチームがあれば、病院長でなくなった後も、その人の影響力、つまりリーダーシップは消え去りません。

リーダーシップとは役職の事ではない、という言われる所以です。
目指すならAuthorityだよね!


心底楽しめる趣味を持つ意味とは?
最近気づいたんだけど、趣味ってとっても大事だね。心身ともにリフレッシュすることができる、というのは長い医師人生でバーンアウトしないためにとっても大事というお話をします。

・男性医師の「偉い人」は、ガチ趣味を持っている事が多い
・仕事=趣味の人々
・バーンアウトしますよ
・長く医者を続けたいなら趣味を持とう


・男性医師の「偉い人」は、ガチ趣味を持っている事が多い
私の周りの男性医師は、かなりの確率で趣味を謳歌している。そして彼らは楽観的で、仕事と趣味のバランスを適度に取って、楽しむことを大事にしている。「それ、ちょっとやりすぎじゃない?」ぐらいの方が、かえっていい気もする。男性医師の趣味は、釣り、キャンプ、自転車やバイク、トライアスロン、マラソン、登山、料理、などなど。結構な努力が必要で、まる1日没頭できるようなものが多く、ほんの30分のリフレッシュ的なもの(犬の散歩とか)ではない。

・仕事=趣味の人々
これと対照的なのは、仕事と趣味が同一化している人々。研修医ならまだしも、そこそこ年齢行ってるのに「趣味は仕事です」的な人もいる。男性医師でガチ外科系の50歳台以上は、こういう人も多い感じがする。彼らは、すでに疑問すら感じないのだろう。子どもも巣立っているのだろう、家に居場所もないのだろう。疑問がないなら、いいんです。バーンアウトすることもないから。しかし、疑問やストレスを実は感じているのに、発散する術がない場合は致命的。

・バーンアウトしますよ
35~40歳代ぐらいで、やっと自己裁量可能な立場になりつつあるのに、プイっと辞めちゃう人がいる。医者業が趣味で、ちょっとしたお小遣い稼ぎが目的で、メインが別にある人は、それでいいと思う。医者業がメインで、生涯医師としてやっていくのだけど、途中で辞めちゃうのはもったいない気がする。

「病院が性に合わない」「やっぱり臨床医は向いていない」という人の方向変換はアリね。もったいないのは、本当ならその専門分野で医者としてやっていきたいのに、過労で趣味を持つ時間と心の余裕がない場合。既婚子持ちだと、家事育児を全部自分でやっちゃっている事もあるし、未婚や子なしでも病院の仕事を親切すぎて全部自分で請け負っちゃって、遊ぶために「お先~」って言えない人とか。そんな時に「もうやめようかな」とフッと魔が差して、同僚に相談しても「個人の問題だしね」と止めてもらえないと、「私ってこんなに貢献してるのに、必要とされていないんだ」とか「いなくなったら、ありがたみが分かってくれるはず」とか思っちゃって本当にやめちゃったりする。ある程度できるようになって、「目標を見失ってしまう」ということは、実はライフイベントのあるなしにかかわらず、バーンアウト系の真面目すぎる女性医師に頻繁に起こってしまう。

・長く医者を続けたいなら趣味を持とう
男性医師に見習うべき点って、いっぱいあると思う。多くの男性医師は「一家の大黒柱」という呪いを背負っているから、お金を稼ぐことを辞めるという選択肢はない(よっぽどの資産家でなければ)。自分の人生楽しむってことも大事にしないと、やってらんないよね。あとは、キャリアの6ステップの話でもしたけど、ある程度できるようになったら、次はステップ5と6に進めばいいんです。でもそこに壁があるんだよね、葛藤が。男性医師は、ある程度できるようになってしまったからって、次の目標を見失ったりする事は少ない気がする、もちろん壁もあれば葛藤もある人もいるんだろうけど。「当たり前」に「部長になる」事(ステップ5と6)を目指す。

女性医師も同じようにすればいいのに。お金を普通に稼いで、何でもいいから「責任者になる」事を疑問なく目指していればいいのに。その専門科に居続けるからこそ、色んな知恵が蓄えられて、実は「やるべき、なされていない仕事」は学会レベルでも病院レベルでも、いっぱいあるわけで。そして適度に趣味に没頭して、楽観的にいけばいいのにね。壁や葛藤も、そうやって乗り越えて行ければいいし、もっと周りを頼っていい。

ちなみにYOKOの趣味は、テニスとお絵かき。
仕事で疲れても、テニスには行きます! リフレッシュできて、メンタルが病まない。
お絵かきは子どもの頃から大好きで、没頭できる。
自分の専門分野のお勉強も、まだまだ飽きずに楽しいです。
壁や葛藤は、バカ丸出しでもいいから、周囲に泣きつく!
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